やっぱりと言っていいのか、残念でなりませんが、以前にブログで書いたことが、現実に起こってしまいました。
<参考>
2024年06月13日(NHK WEBニュース)
「通園バス 置き去り防ぐ安全装置 設置後に降ろし忘れが なぜ?」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240613/k10014476181000.html
園児をバスから降ろし忘れただけで命に別条はなく、大きな問題にならなかったのは幸いでした。このバスには安全装置が取り付けられていますが「バスの置き去り」は発生しました。以前にブログで書いたとおり、しくみで解決しても、違う形(事象)で再発するのです。
<一部抜粋>
後ろから2番目の席の窓際に座っていた4歳の男の子は、前の席に隠れる形で眠っていて、まだ降りていませんでした。添乗の職員は前方から園児が残っていないかを目視で確認しましたが、その位置からは男の子は死角になっていました。降車時にチェック表で人数の確認も十分に行われなかったため、降ろし忘れていることに気が付くことができませんでした。運転手や添乗の職員は別の送迎ルートに出発し、15分ほどたってから園児を降ろし忘れていたことに気がつきました。車内は冷房がかかっていたため園児の体調などに問題はなかったということです。
記事を詳しく読んでいただきたいのですが、安全装置は、静岡県牧之原市の認定こども園での事件で設置が義務化されたもので、この園では前の月に設置したばかりでした。ただ、エンジンを切らないと警報音は鳴らない仕組みだったため、安全装置は作動しませんでした。
<参考>
2022年11月04日(遠藤メソッド「行為保証2.0」公式ブログ)
「園児バス置き去り事故」は防止できるのか?その対策?
この園でも対策は打たれていますが、どれも「しくみ」の対策です。この園が悪いわけではありません。こういった「しくみ」の対策を取らないと、さまざまなところからの指摘がなくならないからです。
ハインリッヒの法則に当てはめて考えてみると、死亡事故(重大事故:1)には至っていませんが、「園児バス置き去り」のトラブル(軽微な事故:29)は減っていません。現場には、ヒヤリハット(不安全行動)が発生していることになります。(ヒヤリハット:300)そのヒヤリハットの原因である「不安全行動:9・不安全状態:1」は「後ろから前まですべての席を覗き込み目線を当てていない、園児がいないことを判断していない」見てない不安全行動です。以前にブログで書いたとおりですが、添乗員が確認するときは「後ろから前まですべての席を覗き込み目線を当てて、園児がいないことを判断する。」このことを習慣(体が覚える)になるように訓練しなければ、事故の再発防止は出来ません。
安全装置も、使い方・設定・調整・メンテナンスを間違えば、正しく動作しません。
これは人的ミス(ヒューマンエラー・ポカミスなど)の問題です。
一般的な見方では、エンジンを切って車庫に入れる際には、安全装置がエンジン停止後に警報音を鳴らし運転手に車内の確認を促すので、大丈夫だろうと考えますが、ハインリッヒの法則で言えば、(ヒヤリハット:300)ではなく、(軽微な事故:29)が発生しています。言わばたまたま死亡事故にはならなかっただけです。「園児がいないことを判断する。」ことが習慣になっていないのであれば、安全装置の使い方・設定・調整・メンテナンスで、何らかの「見ていない」が重なれば、事故は再発します。ダブルチェックよりトリプルチェックの方が、理論的には検出率がアップしますが、実際の検出率は下がる理屈と同じです。(前の人が確認しているから大丈夫だろう。)また、手順で指導しても判断は形骸化し「見ていない」「見られない」は発生します。
<参考>
2024年05月11日(遠藤メソッド「行為保証2.0」公式ブログ)
手順を守っても、不良は出る。
「行為保証」である、必ず見る(判断する)ことを、考えなくても体が勝手に見てしまう習慣になるよう訓練すれば、ヒヤリハット(不安全状態・不安全行動)の「見てない」「見られない」をゼロにすることが出来き、事故は発生しません。行為保証の取り組みでは、多くの成功事例があり、結果(エビデンス)が出ています。現在の出来栄え管理でしくみや手順で対策しても、行為保証といった観点視点でアプローチしなければ、結局は、形を変えて再発してしまうだけです。こういった事故が一日でも早くなくなること願うばかりです。