「2020年 夏号 +POWER」より
「行為保証2.0」を導入している旭有機材株式会社(延岡工場)様が、自社で「行為保証2.0」の「社内トレーナー」を育成する社内育成講座をはじめました。
新しい品質管理手法「行為保証2.0」や「行為保証」の考え方は、現状ではマイナーな手法であり、日本の品質管理の主流は「出来映え管理」の考え方です。多数派の出来映え管理の考え方に、流されがちなのですが、多数派に流されないために有効な取り組みだと言えます。
「行為保証2.0」を導入されている企業様でよくあるのは、成果を出せた安堵感から「活動の劣化」が始まります。その劣化を防ぎ、品質管理に対する考え方や思想を維持するためにも、正しい行為保証の考え方を教えられる人(社内トレーナー)が必要となります。
皮肉にも、行為保証を劣化(出来映え管理の考え方へ戻る)させるのは、善意でアドバイスをされる出来映え管理の考え方を持った諸先輩方なのです。旭有機材株式会社(延岡工場)の吉田氏(遠藤メソッド認定トレーナー)は、ここに着眼して社内養成講座を行うことにされたようです。教えられる人が育成できれば、思考の習慣がずれたときに、補正する力が組織として確立され、継続し企業文化の形成につながるからです。
弊社でも「行為保証2.0」社内トレーナー研修を開催しております。研修では、参加者の個々の重要性を認識し、多くの議論を重ねてもらい、いろいろな思考の迷路に入り、悩むことを繰り返しながら、思考の広さや理解の深さを求めます。「行為保証2.0」を継続的に取り組み、製造不良「ゼロ」を維持するためには、このような学びを経て、管理者を育成できる体制を各企業ごとで確立する必要があります。
行為保証の考え方を、影響の大きいキーマン(社長や現場の親分など)が推し進めるパターンでは、キーマン伝承のとして文化形成されるところもあります。しかし、維持できる体制を構築するまでにキーマンがいなくなると劣化が始まり、仕組みとしては不十分です。旭有機材株式会社(延岡工場)様のように、自社で「社内トレーナー」を育成する取り組みは重要であると思います。
「不良が出ないのが当たり前」を企業文化にし、世界と戦える日本企業が増えることを強く願っております。