2021年12月24日

マツダのリコールから見える「セットメーカーの品質改善策」

マツダのリコールから見える 「セットメーカーの品質改善策」
セットメーカーとして頭の痛い問題が「部品の不具合」です。自分たちの持つ工程より「部品が持つ工程」は遥かに多く、影響も大きく、個々の部品品質が、重要な課題となります。

製品によっては、分解すると数万点の部品となる。更に工程に分割すれば、数十万工程という作業があり、そこには無数の「不安全行動」が潜んでいます。「不安全行動」が制御されていない作業は、ハインリッヒの法則に従い「1:29:300」の比率で「重大な不良:軽微な不良:支障のない不良」が発生します。「行為保証」という考え方で「不安全行動」を見れば「見えない・見てない・見られない」が発生し、1/330で不良が発生しているのですが、今の「出来映え管理」では、この不安全行動を制御できず、検査やチェックを増やすしか手がなく、品質不良をゼロにはできません。

この気付きから、これまで原因として捉えていた「ヒューマンエラー」や「ポカミス」をなくすことが出来る「行為保証」という考え方を発信しておりますが、新しいサービスとして自社の品質だけでなく、協力会社の品質に向けた支援がございます。
(協力会社様向け「無料研修会」)

協力会社の品質を支援する理由として事例となるのが、2021年11月の「マツダ リコール問題」などではないでしょうか?「デミオなど4万2000台をリコール…燃料ポンプ不具合でエンストのおそれ」という燃料ポンプに関係した問題ですが、すべてを自社で製造している訳ではありません。セットメーカーは様々な「部品」を協力会社から購入し製品を製造します。この「部品が持つ工程」が「セットメーカーが持つ工程」よりはるかに多く、部品点数が多い製品になればなるほど「自社で発生した不良より部品不良の方が多い」ことがほとんどです。

これまで、まずはセットメーカーから「行為保証」を導入し、不良がなくなってから協力会社へ展開していくことが多かったのですが、不良の数から考えても早期に協力会社へ展開した方が得られる効果は大きくなります。また、意外にも効果は簡単に得ることができ、以下の2段階で効果が見えます。

「1次効果」 → 工程内不良が増加、市場クレームが減少
「2次効果」 → 工程内不良が減少、市場クレームが更に減少

セットメーカーからすれば部品の品質が良くなればいいので、協力会社に「1次効果」を出してもらえれば、セットメーカーの品質は上がります。「1次効果」は「行為保証」を理解し「見えない・見てない・見られない」を作業者が理解し「見ることが大事だ!」と気づきを持てば、簡単に効果を出すことが出来ます。

継続的に工程内不良を下げていくには、現場で「行為保証」に取り組んで行かなければなりませんが、セットメーカーからすれば、今後はこれまで「ヒューマンエラー」や「ポカミス」を原因として、なくすことが難しかったとしていた品質問題を「行為保証」という考え方を共通認識し「製造品質が管理出来る前提」で、問題に対して対策を求めることが出来るようになります。

「マツダ リコール問題」の事例では、低圧燃料ポンプのインペラ(樹脂製羽根車)の成型不良とありますが、製造現場で段取り作業時の条件設定に何らかの問題が発生しており、以下の「不安全行動」が考えられます。

1)条件書のデータ設定の確認行為の不十分さ
2)設備異常があれば、メンテ業務の不十分さ
3)密度低下の物性以上と表記があり、外観検査、機能検査時の不十分さ

この「不安全行動」とは、作業をしている時に「見えない・見てない・見られない」が発生し、問題に対して反応出来ていないということです。アセンブリ(組立・組み付け)だけでなく、塑性変形加工の現場でも、自動化された設備や装着でも、その設定・調整・メンテは「人」が行います。セットメーカーだけでなく、協力会社の現場にも「不安全行動」が原因で、ハインリッヒの比率でいう1/330の確率で品質問題になっているだけです。そのことを、現場の責任ある方(製造本部長、部長)が認識し、部下や現場の作業者へ「見ることの重要性」を伝えるだけで品質は大きく変わります。

「行為保証」はセットメーカー視点では「自社の取り組み」ではありますが「自社製品というくくりで見れば、協力会社を含めたグループ会社全体の取り組み」となります。ですので、弊社では「協力会社の品質に向けた支援」が必要だと考えております。

posted by 遠藤メソッド「行為保証2.0」公式ブログ at 15:27| 品質管理